Kライフ研究所 法令について


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小屋暮らし研究所 建築物の定義


小屋レベルの建物であろうと、専門的な知識のない素人がすべてセルフビルドする場合、建築基準法を順守した建築物を建てるのはちょっと敷居が高い気がしてしまいますが、実際は小屋を造る作業から比べれば簡単です。
「その苦しみも楽しみの内」と考えて、確認申請に挑戦してみることは悪くは無いと私は考えています。

建築物の定義
建築基準法には、「建築物」についてこう書かれています。(建築基準法条)
「土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの」
建築物は基礎に固定するように定められています。
基礎に固定することで「土地に定着」していると見なされ、「建築物」となるわけですね。

基礎に関しては「延べ面積が10平方メートル以内の物置、納屋その他これらに類する建築物には、適用しない」とあります。(建築基準法条)
つまり、3坪の小屋であれば基礎に固定する必要はないということの様ですです。
建て物の土台を、ブロックなどを置いたものの上に転ばす様にすれば「土地に定着」していないという見方ができ、「建築物」にはならず、建築基準法の適用外と読める様ですが、残念ながらそうでは無い様です。

と言うのは、国土交通省住宅局から「コンテナを利用した建築物の取扱いについて」(平成16年12月6日付、国住指第2174号)という通達があり、ここには、以下の様に書かれています。
「最近、コンテナを倉庫として設置し、継続的に使用する例等が見受けられる。このような随時かつ任意に移動できないコンテナは、その形態及び使用の実態から建築基準法第2条第一号に規定する建築物に該当する。」

ここでポイントとなるのは、「継続的に使用」と「随時かつ任意に移動できない」という部分と思われます。
「随時かつ任意に移動」とは、「いつでも簡単に移動できる状態」と言った意味に思われます。
さらに固定だけではなく、継続的と言う時間的経過も判断基準になっているようです。
この通達によれば、基礎を固定せず、ただブロックの上に置いたコンテナであっても、建物的に「継続的に使用」し「随時かつ任意に移動ができない」ならば、「建築物」と判断されてしまうということになります。

さらに、国土交通省住宅局から「コンテナを利用した建築物に係る違反対策の徹底について」(平成26年12月26日付、国住安第5号)で、是正指導または是正命令の徹底やパトロールの強化、さらには新たにこれらのコンテナを利用する建築物を設置する場合には建築基準法に基づく建築確認申請が必要となること等について、ホームページに掲載すること等により広く周知すること。などを要請している。
実際に、自治体によってはウェブサイトで例を挙げて適用を言っている例を、多多見かける様になっている。

そもそも、建築基準法は「建築物の敷地・設備・構造・用途についてその最低基準を定めた法律」です。
「個人が自分の土地で、自分で設計して自分で建てて自分で住む家なら、誰にも何も迷惑がかかるわけでもありません。」
「建築基準法の規定を満たしていなくて安全性が確保されていなくても、それは自己責任の範疇でそこに法律を適用して、第三者がその家は違法建築だ!とわざわざ目くじら立てる必要性はない」などと言う人がいますが、これは間違いだと思います。
火事を出しても貰っても、地震や台風などで小屋が潰れても屋根が吹き飛ばされても、出動する人がいたり、それで迷惑を蒙る人がいる以上、自分の勝手などと言うことは通らないと心すべきです。

建築基準法というものは、自由に建築を行う私人の権利を公権力によって制限しまたは規制して社会の秩序を保とうとする性格を持つ法律であるから、その制限については憲法13条に基づき、必要最小限のものでなければならないという理念から。
次にこの法律で制限するレベルはあくまでも最低限であるから、この法令による技術的基準を守っていれば建物の安全が保証され、私達の生命・健康・財産の保護が完全に保証されるというものでもないということである。
さらに、この法律は最低限に過ぎないので、その地域や周囲の環境等の状況に適した建築物の在り方を制定するために、各種条例や建築協定などの規定を別途に組むことも可能であることを示唆している。
ただし、実際は非常に細かなところにまで規制が及んでおり、最低限の規定になっているとはいいがたい。

この法にいう基準は最低の基準である。従って法律上は建築主、設計者、施工者にとつては、この最低の基準に適合すれば差支えなく、建築主事その他法を施行する者にとつては、この最低の基準を確保することに努めなければならない理のものである。
然しながら建築基準法の名称の示すように、あくまでも基準である。従って建築主、設計者、施行者にとっては、この基準が確保されることは勿論、可能の範囲において基準以上に建築物の質の向上が図られることが望ましいし、また、建築主事その他法を施行する者によっては一分一厘の枝葉末節にこだわることなく法が運用されることが望まれるのである。日本建築学会、『建築基準法令解説』昭和25年11月(1950年)

まとめ
都市計画区域だあろうとなかろうと、建築基準法からは逃れられない。
都市計画区域外の住宅は、建築基準法第二章(単体規定)を順守する必要がある。
基礎を固定しない小屋は30平方メートル以下であれば、建築が可能。

建物が建てやすいからと、生活を犠牲にしてまで辺鄙な土地での建築は望まない。
ただし、都市計画区域外であっても利便性の良い土地は存在しており、これは最高においしい土地だと考えている。
かつて、私が7.5坪の小屋を建てた土地は、まさにそんな土地だった。