Kライフ研究所 建築基準法


家を建てる前に知っておきたい都市計画法と建築基準法
小屋をセルフビルドするという観点から、都市計画法と建築基準法について考察します。

小屋暮らし研究所 建築基準法


建築物を建てる場合、建築基準法および関連する法令を遵守しなければなりません。
さらに建築基準法の第二章に関しては都市計画区域の内外を問わず遵守しなければなりません。


建築基準法
(目的)
第一条 この法律は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉の増進に資することを目的とする。
※ ここでのポイントは、①建築基準法は最低の基準を示しているということ。
憲法で保障される自由に生きる権利および幸福追求に対する権利を制限する訳だから当たり前だろうとも思うが、近隣に迷惑を掛けないとかお互い様の範囲を基準として定めたものと考えれば止むを得ないのかなとも思う。

しかし、それは企業のためだろうとか、大きなお世話だと思う部分も多々ある。


(用語の定義)
第二条 この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一  建築物 土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)、(中略)、建築設備を含むものとする。
※ここでのポイントは、建築物とは① 土地に定着する、②屋根及び柱若しくは壁を有するものであり、③建築設備を含むものだということ。
要は、建築物に屋根は必須で柱または壁が必要であり、さらに土地に定着していることも必要だということ。
それなら土地に定着していなければ建築物では無いのかというと、そうは簡単では無い様だ。

ネット上の情報には、「具体的にどのような工作物が建築物でどのような工作物が非建築物かという線引きは、地域や担当者によって曖昧であり、確実に非建築物とみなされるのは、車輪付きのトレーラーハウスのようなものでライフラインを着脱式にしたもののみ」と言った記事が見られるが、実際には線引きは歴然と存在しており、それは法令や通達が厳密に実行されていないだけという話。

さらに、『土地に定着していない(置いただけの)小屋やプレハブに関しては、基礎を固定しない、ライフラインを固定しない、という二点が重要なようです。』といった情報も見たが、これは正しくない情報だと思われる。


根拠として挙げたいのは、建設省(H元年)~国土交通省(H16年・26年)から出された3つの通達だ。
先ず、平成元年7月18日建設省住指発第239 号、建設省住宅局建築指導課長からの通達。
これに表題は無い。
この通達では、コンテナをカラオケボックスとして使用することに対して「その形態及び使用の実態から建築基準法第2条第一号に規定する建築物に該当する。」としている。
さらに「2 構造耐力上の安全性の確認に当たっては、(2) コンテナを鉄筋コンクリート造等の基礎に緊結し、コンテナに作用する荷重及び外力を安全に地盤に伝えること。」とある。
※この通達のポイントは、建築物を①形態(居室)および②使用実態(居室として使用)から建築物と判断するということ。
また、③建築物だから基礎(土地)に緊結しろということであり、土地に定着していなければ建築物ではないということにはならないということ。

すなわち、建築物としての形態と使用の実態があればそれは建築物であるから、土地に固定しろということ。


次いで、平成16年12月6日の国住指第2174 号、国土交通省住宅局建築指導課長からの通達。
表題は「コンテナを利用した建築物の取扱いについて(技術的助言)」。
先の平成元年7月18日住指発第239号に加え、「コンテナを倉庫として設置し、継続的に使用する例等が見受けられる。このような随時かつ任意に移動できないコンテナは、その形態及び使用の実態から建築基準法第2条第一号に規定する建築物に該当する。」と書いてある。
「また、建築基準法に適合しない事項がある場合には、違反建築物として扱い、是正指導又は、必要に応じ是正命令されるようお願いする。」としている。
※この通達のポイントは、①倉庫として設置して②継続的に使用するとき、③随時かつ④任意に移動できないコンテナは、⑤形態及び⑥使用の実態から建築物に該当すると言う事。
すなわち、ライフラインの有無は問わず、(長さは書いてないが)使用を続けるならば、いつでも思うときに(誰が思うかは不明)に動かせないのなら、形態(倉庫)や使用実態(倉庫として使用)から、それは建築物であるということ。


3つめが、平成26年12月26日、国住安第5号、国土交通省住宅局建築指導課建築安全調査室長からの通達。
表題は「コンテナを利用した建築物に係る違反対策の徹底について」、先の2つを含めて全7ページある。
違反内容の例および特定行政庁の取り組み事例を添付し、先の二つの通達の周知と徹底、パトロールによる早期発見等を求めている。
この通達でもライフラインについては記載が無い。

参考1としてコンテナ倉庫の建築基準法第20 条(構造耐力)違反が書かれてある。
・適切な基礎が設けられていない。
・コンテナと基礎とが適切に緊結されていない。
と、土地(基礎)に固定していないことを問題にしている。
また、参考2の2つめ大阪府におけるホームページへの掲載による周知では、「コンテナを利用した倉庫について」として、 継続的に倉庫として利用し、随時かつ任意に移動できないコンテナは、建築基準法第2条第一号に規定される「建築物」に該当するため、建築基準法に基づく確認申請が必要となり、「確認済証」がないと設置できません。云云、以下略。
と書かれているのだそうだ。
この通達を読む限り、建築物的な用途の物は建築物なのだから土地に固定しろ、そしてこの通達を厳密に運用しろと書いてある訳で、今後、この通達が日本全国津津浦浦まで厳密運用に至ったときには、車輪があろうが無かろうが「随時に任意に移動」が出来なければそれは建築物であり、逆に土地に固定させられることになるのだろうなと思われる。


これら通達を読んで思うことは、大型のトレーラーハウスのこと。
自分で牽引免許を持ち、敷地内または近くに牽引車両を置き、随時かつ任意に移動が可能では無いトレーラハウスのオーナーのこと。
業者に頼んで持ち込んだものであれば、それは車輪の有る無しに関わらず「随時かつ任意に移動できない」建築物的用途物となり、「建築物だから土地に固定しろ」という恐れ・可能性が高くなるのではないかということ。
業者に頼んで移動できるから問題無かろうというのであれば、それはコンテナハウスだって同じことのはずだ。
ならば、それらは随時かつ任意に移動できるとは、認められないということになる。
要は、「法令や通達を厳格に運用するや否や」に掛かっていると言うことの様なのだろう。
3つめの通達で、各位に厳格運用を求めていますので、もう、時間の問題なのかも知れない。


そうであるならば、私はジタバタせずに建築確認申請の道を選択したいと思う。