Kライフ研究所 ライフライン


充放電制御装置(チャージコントローラ)の考察と、自分の使用する物について記録する。

小屋暮らし研究所 太陽光発電


充放電制御装置がオフグリッド型太陽光発電設備においての肝だと考えており、拘りがある。

充放電制御装置はPV(太陽電池)アレイとバッテリー間に接続して充電と放電の制御を行う装置であり、PVアレイが発電しない夜間や発電量の少ない悪天候時には、電流がバッテリーからソーラーパネルに逆流しないようにコントロール(PVパネルにも逆流防止ダイオードは付いている)し、バッテリーの過充電や過放電を防止して効率の良い充放電のコントロールを行っている。
方式は充電効率95%以上とロスが少ないMPPT(最大電力追尾)方式と、一般的なPWM(パルス幅変調)方式に大別されている。

チャージコントローラー(充放電制御装置)の機能
一般的に、チャージコントローラーには下記のような機能があるので、システムに応じて最適なものを選ぶことが肝要であると考えている。
・充電制御:ソーラーパネルからバッテリーへの充電電圧を自動制御し、バッテリーの過充電を防止する。
・放電制御:バッテリーの低電圧による負荷の遮断と負荷の自動再接続を行い、バッテリーの過放電を防止する。
・バッテリー設定:密閉式バッテリーや非密閉式バッテリーまたは特性に合わせて設定する。
・温度補正:内蔵または外付けのサーミスタ等によって温度補償を行い、さらにはバッテリーの温度を感知して充電電圧を補正し、より最適な充電制御を行なう。
・逆流防止:夜間・雨天等の低照光時おいて、バッテリーからソーラーパネルへの電流の逆流を防止する。
・夜間タイマー:PVの発電状態から日没や日出を検知し、負荷接続を自動的に制御する。
※ 機種によって機能の有無が異なり、使用の前に各商品の説明書やカタログにて確認が必要。

チャージコントローラーの選び方
結論から言うと、充電効率95%以上を得られるMPPT(最大電力点追尾)方式のチャージコントローラーを 選択すべきである。
価格はそれなりに高いのだが95%以上の充電効率が得られるという事は充電効率が80%のコントローラーに比べてPVアレイの面積が15%アップしたのと同等だからだ。
これは、限られた条件でなるべく多くの果実を得たいと考える独立型太陽光発電にとっては、最大のメリットだと言って過言では無いと私は考える。
チャージコントローラーに必要な仕様は、PVモジュールの短絡電流以上の電流の入力に耐えられることと、チャージコントローラーの最大入力電圧がPVモジュールの開放電圧以上であることであるが、PVモジュールの電圧とのマッチングで制約(ロス)の多いPMW方式とは異なり、MPPT方式では最大入力電圧が十分に大きいことによって、PVモジュールが系統連携型用・オフグリッド用であると言う垣根を取り払ってしまうことが可能となる。
要するにMPPT方式のチャージコントローラーと系統連携型用と言われるPVモジュールを組み合わせることによって、より効果的な発電を行うことが可能になり、これこそがMPPT「入力電圧×入力電流=出力電圧×出力電流」の成せる技であると言える。

MPPT方式の充電段階にも触れておく。 ※TS-MPPT-60の取説より
・バルク充電:太陽電池アレイから得られる電力の100%をバッテリーへ送るモード。
・吸収充電:バルク充電が終了した後、あらかじめ設定された閾値(電圧)を超えると電流を制限して電圧一定に保つモードであり、加熱や過剰なバッテリーガスの発生を防ぎつつゆっくりと満充電に向けて充電を行い、バッテリーは吸収充電時にほぼ満充電となる。
・フロート充電:長期の過充電からバッテリーを守るために電圧を調整するモードで、満充電になると化学反応が停止して充電電流は熱やガスとなる。
このとき、とても低い電圧で微弱な電流を流してメンテナンス充電(満充電の状態を維持する充電)を行う。
・均等化充電:高い電圧を用いてバッテリーのセル間のレベルを整えるモードであり、バッテリー能力やバッテリーの寿命に重要な影響を与えるステップで、硫酸結晶の硬化を防ぐことが出来る。
ちなみに、サイクルバッテリーは酸化現象の影響を受け易いバッテリーなので、このモードが重要である。
均等化充電はバッテリー電圧を標準的な吸収充電よりも高い電圧で充電し、そのため電解ガスが発生する。

第1ベースでの充放電制御装置の使用歴
米国モーニングスター社制MPPT方式の充放電制御装置であり、カタログの最大充電変換効率はそれぞれ97.5%・99%と記載されている。
中国製の「何ちゃってMPPT」は、どんなに安くたって購入しない。
なぜなら名前だけのMPPTであることは先刻お見通し!であり、安いとしてもその金は捨てたことと同じだと考えるから。
ちなみに、効率よく運転するためにはRTS(リモート温度センサー)の設置は必須であり、構造的にバッテリー温度と本体に付属する温度センサーの温度差は驚くほど大きくて、これがコントローラーの効率を著しく損なうことが分かっている。

 
公称システム電圧:12、24Vdc
最大バッテリー電流:15A
最大太陽電池入力電圧:75Vdc
バッテリー動作電圧範囲:7~36Vdc
公称最大入力電力:12V-200W
         24V-400W
電圧精度:1.0%
電流精度:2.0%
自己消費電力:35mA
最大充電変換効率:97.5%
サージ保謙:1500W/ポート
充電アルゴリズム:4段階
充電状態:パルク、吸収、フロート、均等化
温度補償精度:-5mV/℃/セル〈25℃〉
温度補償範囲:-30℃~+80℃
湿度補償設定:吸収、フロート、均等化
SS-MPPT-15L (MorningStar社)

見た感じも触れた感じでも、かっちりとした好感と安心感の持てる作りになっている。
内蔵サーミスタが本体の熱を拾って効率を落としてしまうため、外付け温度センサーは必須。

TS-MPPT-60 公称システム電圧:12、24、36、48Vdc
最大バッテリー電流:60A
最大太陽電池入力電圧:150Vdc
バッテリー動作電圧範囲:8~72Vdc
公称最大入力電力:12V-800W
         24V-1600W
         48V-3200W
電圧精度:12/24V:≦0.1%±50mV
48V:≦0.1%±100mV
自己消費電力:1.3~2.7W
最大充電変換効率:99%
サージ保謙:4500W/ポート
充電アルゴリズム:4段階
充電状態:パルク、吸収、フロート、均等化
温度補償精度:-5mV/℃/セル〈25℃〉
温度補償範囲:-30℃~+80℃
湿度補償設定:吸収、フロート、均等化、HVD
TS-MPPT-60 (MorningStar社)

入力電圧が150Vあり、もはや系統連携型で使用するPVモジュールの選択に躊躇は不要である。
このスペックと蓄電池の問題が解決されれば完全オフグリッドの生活が可能になる。

リモート温度センサー SS-MPPT-15LとTS-MPPT-60に共通の リモート温度センサー。バッテリー温度を測定して温度補償を行う。
特に、ヒートシンクと温度センサーが極めて近いSS-MPPT-15Lには必須。

RTCの抵抗値を測ってみたところ、
温度上昇に対して抵抗値が減少して行く様から10KΩ(25℃)のNTCサーミスタで間違いないと判断している。
品番 RTS (MorningStar社)


SS-MPPT-15LとTS-MPPT-60を並べて比べてみたが、サイズ差ほど価格差は大きくない。

どうせなら日本語の取説の付いた物が 欲しかったのだが、あまりにも価格が違いすぎる。
どのみち、ネットショップでの保証なんて期待はできないだろうし、そもそも簡単には壊れない商品なのだろうと思う。
取説に書かれている保障期間は5年間だ。
中国製インバータの壊れた話は、自分が使用していた物も含めてネット上にはゴマンと溢れているけが、「TS-MPPT-60」の壊れた話は まるで聞いたことが無いし、見た記憶もない。
とすれば、日本語の取説の付いた「TS-MPPT-60」の価格というのは一体全体、どう言う訳なのだろうか?
アメリカでの価格は概ね500ドル程で、アマゾンの並行輸入品での7~8万円は、円安の昨今ではそんなものだろうと思う。
しかし、日本語の取説付きとなると、いきなり5万円以上もの金額が上乗せされている。
自由経済下においては、需要と供給のバランスで価格が決まるのだそうだから、どんな価格を設定しても問題は無いのだろうが、やはり釈然としない。
足元を見た悪どいボッタクリ商売、鴨られてたまるか!

そこで一念発起。
どれだけ時間がかかっても英語のマニュアルを和訳してやろうと考え、「SS-MPPT-15L」同様に購入した「TS-MPPT-60」の取扱説明書の和訳に挑戦してみた。
これまでの「SS-MPPT-15L」での経験の積み重ねや、情報の蓄積、ネット上にあるさまざまな「TS-MPPT-60」の使用情報を確認しながら、専門用語が多いこともあって思ったよりも簡単に和訳ができた。

しばらくは英語版マニュアルの図や表を見ながら、和訳をした文章を読んでいたが、だんだんと面倒になり、英語版マニュアルから図表を切り出して和訳した文章に貼りつけて、私家版「設置・取扱説明書」としてまとめてみた。

英文オリジナル風に出来上がり、これで約5万円の節約となってとても気分が良い!!

和訳して分かったのは、「TS-MPPT-60」には「SS-MPPT-15L」には説明が十分では無く、疑問に思っていた情報が多多含まれており、より知識が深まったのは幸運だった。
やはり、苦労はしてみるもの。
「TS-MPPT-60」のマニュアルの内容は、「SS-MPPT-15L」に比べてページ数は2倍も無いのだが密度が全く異なり、体感的には4~5倍は濃い様に感じた和訳作業だった。

私家版「SS-MPPT-15L 取扱説明書」表紙
私家版「TS-MPPT-60 取扱説明書」表紙
「SS-MPPT-15L」 「TS-MPPT-45/60」
「SS-MPPT-15L」も和訳をしていたのだが、
これも私家版「設置・取扱説明書」として
作成し直してみた。
一念発起して「TS-MPPT-60」を和訳し、
私家版「設置・取扱説明書」として作成。
体裁も英文マニュアル風にしてみたので、 なかなか良い感じで出来ました。
違和感無く、商品に添付できてしまいそうです。手前味噌、自画自賛です。

めでたし。